昨日から彼の機嫌が悪かった。
というのは、ある会社から彼の携帯に電話がかかってきたからだ。
彼は1日中忙しかったので電話に出る時間がなく、仕方なく着信拒否のボタンを押したのにも関わらず、その会社はこりもせずその後何度も電話をかけ続けてきた。
1日に5回も同じ会社から電話がかかることは初めてだったし、こちらの都合を考えない会社の対応に対してストレスが溜まっていた彼はイライラしていた。
その次の日も、その会社からの着信があった。
耐えきれなくなった彼はついにその電話にでて、クレームを言ったそうだ。
その日の夜、彼がまだイライラした様子で私にどんなことがあったのか教えてくれた。
電話の内容は急ぎの連絡ではなく、新しいプランを進めるような営業電話だったようだ。
以前からもたまにその会社から営業電話があるそうだが、こんなに連続で電話をしてきたのは初めてだ。
彼「なんであんなに連続で電話をかけてくるのかわからない!着信があったら拒否ボタンを何度も押しているのに、こちらが忙しいと思わないのかな?こっちだって仕事があって忙しいんだ!」
私に説明しているうちに、彼の怒りはまたぶり返したようで、段々と声も大きくなる。
私には10年ほど前にコールセンターで働いた経験がある。
仕事内容は、一度サービスを利用したお客に対して、再度利用を伺う電話をかけることだった。
その時にあるお客から『何度も電話してくるなー!』というクレームを受けて、恥ずかしながら同僚の前で大泣きしてしまった。
私は勤めていたコールセンターから電話をかけるリストをもらい、上司の指示に従ってその日に1度お客に電話をかけただけで、悪意があったわけではない。
『仕事をしている以上、苦情を受けることだってあるのだから、そんなの受け流せばいいし、気にしない方がいい。』
周りからはそうは言われるのだが、今でもこのことがトラウマで、私は電話が大嫌いである。
ふとこの経験を思い出したので、彼にもその話をした。
私「その人も悪気があって何度も電話をかけたわけじゃないかもよ?手違いとか、その人の意思ではなく上からの指示で電話をかけてるのかもしれない。そんなに怒らなくてもいいんじゃない?」
それでも彼の怒りはおさまらないようで、愚痴が止まらない。
彼「そうだとしても、絶対にあれはおかしいよ!人の迷惑を考えないのか!・・・・」
彼の話を聞いているうちに、私の過去の感情がぶり返してきた。
彼は電話をかけてきた人に対して怒っているのに、なぜか私に対して怒っているように思えてきた。
いつもよりも彼は大きな声で話していたので、なぜか私が責められているような気がして怖くなった。
過去のトラウマと今の状況が皮肉にも重なってしまう。
だんたんと涙があふれてくる。
彼「なんで泣くの?君に怒ってるんじゃないからね。」
びっくりした彼が私の方に寄ってくる。
私「わかってるんだけど、昔のことを思い出して、涙が止まらないの。」
それから私は鬱状態になり、泣き止まない、体が重い、無表情で笑えなくなって、家の中は重い雰囲気になった。
そんな私といても彼は楽しいはずもなく、2人はギクシャク。
それを24時間ほど引きずってしまった。
嫌な記憶ほど忘れられない。