無職になって2ヶ月ほど経ち、また仕事を探さないといけなくなった。
障害者枠で仕事を探すこともできたが、どれも面白くなさそうな仕事ばかりだし、給与も最低賃金並みだ。
そこで私は興味あることを仕事にしたいと思った。
ただでさえ鬱の波が酷いのに、多少の興味が無いと仕事を続けられないと思ったからだ。
心配はあったが、病気のことはクローズで事務のアルバイトに応募した。
すると職務経験がないにも関わらず、運良く採用となった。
今年に入ってオフィスワーク系のアルバイトは10社ほど不採用だったので、今回も期待していなかった分嬉しかった。
前日まで不安はあったが、ワクワクした気持ちの方が強かった。
新しいキャリアの始まりだ!
今までしていたサービス業とは全く違う自分。
事務の仕事をしている自分をイメージしてみる。
仕事をこなせるようになったら、かっこいいじゃないか。
この仕事を辞めたとしても、次の仕事に経験を活かせる仕事だと思った。
初日は人事担当と同じ部署の同僚となる人たちに挨拶をするとこからスタートした。
心臓がバクバクする。
小心者なのでこのような時はいつも声が震えたり、はっきりと話せない。
さっと挨拶を終えると、私に割り当てられたデスクへ案内された。
私専用の席と、その上にドンと置かれた大きなデスクトップパソコンを見て嬉しくなる。
早速、与えられたログインIDとパスワードを入力しようとキーボードを触る。
最近調子がイマイチだったのでリーマスに加えて、毎晩トリプタノールも服用している。
すると緊張とトリプタノールの副作用が合わさって手が震えてうまくキーボードが上手く打てない。
「しまった、トリプタノールは飲むべきじゃなかった!」と後悔する。
引き継ぎもなく資料をまとめて渡されたのだが、初めて見る単語ややるべきことの量が多過ぎてわけがわからない。
「この紙を見てやってみて。」と言われてもどこから手をつけていいかさえわからない。
その上、周りの同僚は自分の仕事が忙しいようで、ほとんど教えてくれない。
たぶん私が事務経験者と思い、そっとしておいたのかもしれないが・・・
訳のわからない資料をなんとか理解しようと試みる。
・・・文章を読んでも頭に入ってこない。
私は調子悪いと、出来なくなることがあるということをすっかり忘れていた。
調子が良くないと本を読んだり、文章の理解することができないのだ。
更にオフィスに何十人もの人が働いていて、来客も多い。
私は勉強するときや集中したい時は自分の部屋でないと雑音が気になってはかどらない。
静かな図書館でさえ、周りを歩く人が気になって本が読めない。
聞かなくてもいい音や会話に気を取られてしまうからだ。
オフィスは私にとって集中力しづらい環境だった。
教えられながらいくつか仕事をこなしたが、自分が何をやっているか頭で整理ができなかった。
帰宅後、頭痛がした。
そして初日から絶望する。
全くやって行ける自信がなく、即座にクビにされるんじゃないかと思った。