障害者手帳を持っていることを伏せて、居酒屋のホールのアルバイトに応募をすることにした。
こじんまりとしたとした店で、大規模チェーン店のような忙しさはなく、働きやすいのではないかと考えたからだ。
事前にネットでこの店の評判や写真などできる限り下見をした。
面接を受けにその居酒屋へ行くと、私よりもひとまわりほど年上の女性が迎えてくれた。小柄で感じがよく、笑顔が可愛い人だ。
お店の中に入ると思ったよりもおしゃれだったので、わくわくした。
女性は簡単にこの居酒屋の説明をしてくれた。
- 家族経営の店
- この女性の夫がオーナー
- スタッフは他に3名ほどいる
- 昼と夜の営業がある
派遣会社で勤務していたことはあるが、飲食店の勤務はないと正直に話した。
そして女性も正直に話してくれた。
- 給与は最低賃金並み
- 小さな店なので、ホールだけではなくていろいろな仕事もしなければいけない
- フルタイムの仕事ではないのでたくさん働けない
- お客が少なくてシフトが急にカットされる場合もある
私がノーと言うはずがなかった。勤務時間が短くても給与が低くても良かった。こんな未経験の私を雇ってくれるところはないと思っていたからだ。
しばらく研修期間(時給よりも50円ほど低い)があるのだが、すぐに初めて出勤する日が決まり、私はるんるんだった。
自分が働いているイメージを膨らます。
なんでも仕事ができるようになって、てきぱきとオーダーを取って、常連のお客さんと仲良くなって、スタッフとも打ち解けて、地元の生活が楽しくなりそう!
不安はもちろんあったが、それよりも期待の方がはるかに大きかった。