当時、婦人服店でアルバイトをしていた。学校の課題が多く、たくさんは働けなかったが、隙間時間を見つけて働いた。
20代〜30代向けの店だった。基本的にショップ店員は働く店の服を社員割引で購入して、それを着る店が多いと思うが、私の働いた店には私服でもよかった。店長も優しいし、空いた時間に働けるし、悪い店ではなかった。
初めてのショップ店員のアルバイトで、知らないことが多かった。
・「いらっしゃいませ。」は大きな声でこれでもかっというほどたくさん言わなければいけない。
・来店したお客さんに必ず声掛けをしなければいけない。
知らない人にフレンドリーに話しかけるのって難しい。というか、何から話し始めればいいんだろう。職場の先輩の接客を観察してみる。
「試着できますよ。」と声をかけるのはまだいいのだが、一番わからないのが、
「それかわいいですよね!」
「私もそれ買いました!」
だから何?と思ってしまう。可愛いとかは人それぞれの考えだし、店員が何を買ったなんて興味ないだろうに。でも、とりあえず先輩の真似して声をかける。
・人のお客をとってはいけない。
慣れないが、それでもなんとか一所懸命接客してみた。別のサイズはあるか、色違いの商品はあるか、自分なりに接客を頑張ってみたのだが、店の裏に行くと・・・
先輩スタッフ『そのお客さんは○○さんのだから!』
ショップ店員にはそれぞれ売り上げ目標があって、給与が上がったり、昇給に関わってくるんだ!わたしはすっかり、お店の売り上げをみんなであげればいいと思っていた。
暗黙の了解で、スタッフが一度お客さんに声をかけたら、自分はスッと身を引かなければいけない。その後客さんが私に話しかけてきたとしても。
一度やってみたかったショップ店員。イメージとはなんか違っていた。個人の売り上げばかりを考えて接客しているようで、和気藹々とした雰囲気ではない。実際に仲が悪いわけでもないが。
特に怒られるとか、嫌な思いをすることはなかった。授業、課題、サークル、アルバイト・・・今思えば予定をかなり詰めて行動していたと思う。まあ、こんな学生は山ほどいると思うが、昔から体力のなかった私には体に負担がかかってきていた。