いつもの勤務日。
営業時間終了後に後片付けや掃除をしなければいけない。
時々同僚と世間話をしながら、床をはいたり机を拭いていると、ふと頭をよぎる。
〈死ぬのが怖い〉
鬱の時期でもないのに、なんだか嫌な考えが頭から離れなくなった。
〈家族がいつか死んでしまうことが怖い〉
今のところは両親も健康だし、問題はないのだが、なぜか考えてしまう。
〈人っていつかは死んでしまうのに、今何をしても無駄なのではないか?〉
今働いていることも無駄なのではないかと思い始めて、気分が落ちてくる。
しばらく鬱状態が続いたが、掃除を続けているうちに、いつのまにか嫌な考えはどこかに行ってしまった。
次の日。
同じように閉店後に掃除をしていた。
同僚と会話をしていたが、少しの間話が途切れた。
ふとまた同じ考えが頭をよぎる。
〈あー、死ぬのが怖い〉
自分がいつか消えてなくなるのかと思うと怖いし、とても悲しくなった。
〈人生は短いし、なんて命は儚いんだろう〉
私は30代だが、もう人生の折り返しに来ていると思っている。
どんなに頑張って働いても、お金を貯めても、素敵な家族がいても、あと40年ほどで(健康寿命80歳とする)全て消えて無くなってしまうのだから。
今我慢してやっていること、嫌な思いをしていること、全てが馬鹿馬鹿しくなってくる。
本当は働きたくないし、人に合わせることも疲れるし、人付き合いも最小限にしたい。
嫌なことに大事な時間を使っている時間が無駄でしかない。
〈はぁ、私は今何をやっているんだろう〉
色々考えることに疲れてしまった。
全てを放棄して、しばらく家に引きこもりたい・・・。