私には過去にワーキングホリデービザを使って海外に滞在し、アルバイトをしてきた経験がある。どこに住んでも鬱の波はあるが、辛くても欠勤することもなく、なんとか耐えながら真面目に仕事をしてきたつもりだ。
そして現在は実家のある日本で、オフィスワークのアルバイトを探している。サービス業は人の感情に左右されやすい自分には向いていないので、パソコンに向かって黙々と作業できるオフィスワークの方が働きやすいのではないかと考えた。
私は障害者手帳を持っていることを隠し、いくつもの派遣会社に登録をしている。
今日も新しい派遣会社に登録に行った。
そこから興味のある仕事の求人がでていたからだ。
派遣会社に到着すると紺色のスーツを着た小柄な女性スタッフが出迎えてくれた。
個人情報、希望の職種、経歴などを用紙に記入し、そのあとにスタッフと希望する求人について相談するという流れだ。
女性スタッフは私の記入した用紙にさっと目を通して、すぐに質問を始めた。
スタッフ「今まではずっとサービス業をされていたんですね?事務の経験はないんですね?」
私「仕事で簡単なデーター入力はしていましたが、事務職の経験はありません。でもワードなどの基礎的なパソコンスキルはあると思います。」
スタッフ「経験がないとかなり難しいですね。元から事務職は人気がありますし、さらに最近コロナの影響もあって求人が減って、やっぱりどうしても会社としては経験のある人から採用するんですよね。あと事務職は35歳までとかいうじゃないですか。」
私「今から事務の仕事を始めたいと思っている私はどうしたらいいのでしょう?」
スタッフ「パソコン教室に通ったりパソコンの資格を取って、事務職の仕事を探される方もいるんですけど、それでもなかなか採用されません。やっぱり実務経験が必要です。未経験でもいいという会社もありますけど、経験者の応募があればそちらを選びます。時期やタイミングで未経験者でも採用されることもありますけど・・・。」
まるで私の採用確率はゼロに等しいような口ぶりだ。
ドンと気分が落ちる。
さらにスタッフが追い打ちをかけた。
スタッフ「職務履歴なのですが、近年は海外に滞在されていたのですか?」
私「ワーキングホリデーで海外に行ってました。」
スタッフ「ワーキングホリデー経験者はたまにいるんですけど、印象が良くないので、採用にならないことが多いんですよね。」
私「え?なぜですか?」
スタッフ「今の時代、ワーキングホリデーは留学と違って遊んでいるというイメージだったり、日本の会社が嫌になって海外へ行くというイメージなので。将来的には印象は変わるかもしれませんけど。」
私「遅刻や欠勤せず、一生懸命に働いていたのに・・・」
スタッフ「そんなの日本では当たり前です(口調強め)!海外で働くと規則が緩かったりすることもありますし、日本の会社で働くのとでは違います。」
私「ではワーキングホリデーをしたことを隠せばいいのですか?」
スタッフ「これだけの期間に無職だとおかしいですし、職歴は何も書かないよりは書いた方がいいです。」
私「・・・・・(半泣き)。」
私の体調が悪かったら、確実に大泣きしていた。
打ちのめされた感じ。
このスタッフ、なんでも正直にばっさりと私の人生を切る。
私のことが嫌いなのかと思うほど、何を言っても反撃される。
海外での経験はゴミでしかなく、私はダメな人間であるかのように思えてくる。
ちなみに他の派遣会社でこのような話をされたことはない。
他の派遣会社スタッフ曰く、正社員なら気にする会社もあるかもしれないが、アルバイトは基本的に大丈夫らしい。
スタッフの言い方がきつかったことも落ち込んだが、働きぶりも見ずに見かけや年齢だけで判断される日本社会の風潮にもガッカリもした。全部の会社がそうではないと思うが。
自分にあった働き方をするチャンスはもらえないのだろうか。
大学卒業間際、大学のスタッフに就職活動の相談をしたことを思い出した。この八方塞がりで、施す手段がない感じが似ている。
またアルバイトをする元気がなくなってしまった。