私は朝からパソコンで海外在住に関するビザについて調べていた。
現在も一時的なビザはあるのだが、これから長期的に海外に住む為にビザを変更したいと考えている。
昨夜も彼と数時間も話し合って、一旦話はまとまったのだが、私はいまいち納得できてなかった。
私は頭の回転や理解が遅く、忘れることも多い。
どんどん疑問が湧いてきて、もっと調べないと気が済まなくなった。
納得いくまでとことん調べないと気が済まないところは、完璧主義の性格だろう。
朝、しばらくパソコンをいじっていると、彼が起きてきた。
彼「朝から何をしてるの?」
私「昨日話していたビザについてもう少し調べてみているよ。」
彼の声色が変わった。
彼「昨日あれだけ話し合ったのに、まだ調べてるの?そんなの時間の無駄だよ。せっかくこうしようと決めたのに、君はまた振り出しに戻っているじゃないか。何度も何度も同じことを繰り返していると、こっちまで疲れちゃうよ。」
すぐに私の目には涙が浮かんできた。
私「私は理解が遅いから、納得するまで調べているだけ。私たちの将来のためを考えているんだよ。」
涙を堪えながら、なんとか自分の思っていることや状況を説明した。
彼「昨日決めたからそれでいいじゃないか。僕だってビザについて考えているし、これまでにいろんな人から話は聞いてきた。これ以上の良い選択肢なんてないよ。」
私「・・・(泣)」
彼「なんで泣いているの?僕たちはただ話し合っているだけじゃないか?なんで泣いているのか教えて。」
彼の口調は確かにいつもよりも強かったが、怒鳴っていたわけではない。
彼としては怒ったつもりはないし、私を泣かせたり悲しませるつもりもない。
でも、HSPの私には彼の怒りとイライラが必要以上に伝わってきた。
そして、それが自分を責める気持ちに変わっていった。
私「あなたが怒っているように感じて怖いから泣いているの。あなたをイライラさせてしまってごめんなさい。私だって何度も繰り返し聞いたり、時間の無駄遣いなんてしたくないし、こんな性格が嫌いだけど、なかなか治せないの・・・。」
彼はその後、これ以上ビザについて調べることはない理由を説明したが、鬱に突入してしまった私の頭には全然内容が入ってこなかった。
そしてしばらく彼は話すのをやめて沈黙した。
険悪な雰囲気が耐えられない。
もっと自分の気持ちを伝えたいし、とことん話し合いたいが、脳がストップして言葉が出てこないし、相手と言い合ってやるという力も出てこない。
これ以上話すと、言わなくても良いことまで言ってしまいそうだ。
これ以上話すと、彼に嫌われてしまうのではないかと不安だ。
これ以上話すと、破局して私が日本に帰国しなくてはいけなくなるのではないか、ということまで頭をよぎった。
結局数時間話し合って、どのようにしていくのか方向性を確かめて、喧嘩(話し合い)は終了した。
朝から大泣きして体力気力を消耗したので、その日1日を過ごすのが本当に辛かった。
彼は私を理解しようと努力はしてくれているが、HSPや躁鬱病の本当の気持ちは当事者じゃないと理解できないだろう。
喧嘩や言い合い、自分の意見を言うことは本当に大変だし、身を削る思いだ。
でもポジティブに考えてみると、悪いことばかりではないかもしれない。
以前は何かあるとひたすら泣くだけで、ひとつも言葉が出てこなかった。
なぜ私が泣いているのか、相手に気持ちを一つも伝えられなかった。
そう考えてみると、私は少し成長しているのかもしれない。