ついに採卵日かぁ・・・。
ホルモン治療が終了したのは嬉しいが、手術をすることを考えると不安で落ち着かない。
手術までは食べ物はもちろん、水も飲んではいけなかった。
午前中に病院に行くと、待合室とは離れた場所に案内された。
そこにはいくつかの個室があり、その部屋の中には1台のベッドと、小さな机のに病衣が置かれている。
看護師「下着を全部脱いでもらって、トイレで坐薬を入れてください。」
坐薬なんて使ったことがないのでどうやって入れるかもわからないし、手術前なのにもう不安。
トイレに行ってなんとか自分で坐薬を入れ、また個室に戻って看護師が来るのを待つ。
看護師「準備はいいですか?じゃあオペ室に向かいましょう。」

人生で一度も手術をしたことのない私はオペ室に入ると怖くなってしまった。
ドラマでしかみたことのない器具、機械が並んでいる。
どうしよう、もう後戻りはできない・・・。
ベッドに横になり、左腕に静脈麻酔を打たれる。
しばらくしていつも診察をしてくれた医師が部屋に入ってきた。
医師「体調はどうですか?」
私「大丈夫です・・・。」
医師「足を広げてくださいね。しばらくしたら麻酔が効いてきますから。」
医師と話をしてから3分ほどで意識がなくなった。
目が覚めると看護師の声がした。
看護師「大丈夫ですか?聞こえますか?」
私「・・・はい。」
看護師「手術が終わったので、ゆっくりと歩いて部屋に戻りましょう。」
看護師が私の横に立ち、体を支えながらベッドから起き上がるのをサポートしてくれる。
そして私はのろりのろりと歩き出す。
歩いている間もまだ半分は夢の中で頭はぼんやりしていて、キャッチボールのできないような一方的な会話を看護師にしていたように思う。
個室に戻り3時間ほど眠り、看護師に起こされる。
看護師「痛みはありませんか?お菓子と飲み物を用意したので、少し食べてくださいね。またしばらくしたらお声をかけますので、着替えもしてください。」
体に痛みは感じなかったが、怖いのでゆっくりとベッドから体を起こして水を飲み、前夜から絶食だったのでぺろっとお菓子をたいらげる。
あー、これでやっと全部終わったんだ。
少しだけ安堵した。