サービスエリアに置いて来た車の故障原因はエンジントラブルだったようで、1台目の車と同様に修理できないこともないが、購入代金よりも修理費の方が高くなると言われた。
私にはどうすることもできない。
結局オーストラリアに来てから9ヶ月間で2台も車を廃車にしてしまった。
約30万円を捨てたようなものだ。
車がなくなってからは、知人に送り迎えをしてもらって仕事へ通った。
不安定ながらも文化の違いや孤独になんとか今まで耐えて来たが、車のことで最後のトドメを刺された。
落ち込みはかなり深く、人前で鬱を隠すことも誤魔化すこともできなくなってしまった。
①笑えない
私が2度も車を廃車にしたことはすぐに周囲に伝わり、よく話のタネにされた。
私をバカにするつもりはなく「気にするな。」と声をかけてくれるのだが、素直に聞き入れられなかった。
「私って本当にドジだよね(笑汗)。」と言って愛想笑いさえもできず、仏頂面で1日中過ごした。
②面白いと思えない
何をしてもつまらなかった。
友人達が楽しそうに話しているのを見ても、興味がないし会話に加わりたいと思わなくなった。
「そんなくだらないことでよく笑えるな。」と口には出さないが、冷めた感情になる。
③人をしらけさせるほど態度が悪い
仕事のランチの時間は、オーナーや同僚とテーブルを囲んでおしゃべりをしながら食べるのだが、みんなの楽しそうな会話は耳障りでしかなかった。
1人で静かに食事をしたかったがそんな訳にはいかないので、我慢しながらその場にいなければいけなかった。
その場にいるだけで苦痛だったので、会話の受け答えもままならない。
私のあまりにもぶっきらぼうな返事にオーナーも驚き、雰囲気を悪くしてしまったが、その場で泣くよりはましだと思った。
④食欲減退
普段食べることが大好きなのに、鬱になると食べ物を食べる意味がないように感じる。
一時的に食欲がなくなって、急に体重が減ることがある。
⑤少しの刺激で泣く
普通は気にしないような少しの刺激でも心が壊れてしまう。
鬱が頭から離れず、全く関係のない場所や状況でも泣いてしまう。
機嫌の悪い人を見るだけで、自分が怒られているように感じて泣いてしまう。
⑥プチ家出
彼との関係も悪くなる一方。
今まで何とか我慢できたことが、一切できなくなった。
彼を見るだけで今までの辛い気持ちがぶり返して涙が出てくる。
それならば彼に会わなければいい。
シェアハウスを飛び出して、ノープランで近所をひたすら歩いた。
山の中に住んで居たので、人には出くわさない。
出会うのは牧場で飼われているたくさんの牛や羊。
だから泣きながら歩いても気にならならなかったし、気の済むまで思いっきり泣くことができた。
でも涙はそうそう止まらなかった。
いつの間にか日が傾いていた。
街灯もない山の中でこれ以上ここにいるのは危ない。
もっと1人で居たかったが、しぶしぶシェアハウスへ戻る。
自分の気を紛らわせるものもなく、ただ大鬱に耐えるしかなかった。