フランス語アレルギーになり、毎週行われるフランス人たちのパーティに頭を悩ませていた。
悪い人たちではなかったが、コミュニケーションが取れずに輪に入れないことが苦痛だった。
日本人とでも人付き合いがなかなか上手くいかない私。
(この頃はHSPという言葉を知らず、こんな自分の性格を否定し、直したいと思っていた。)
1対1ならまだいいのだが、フランス人10人と私ではお手上げ状態だった。
そこで、フランス人達と仲良くなるきっかけされあれば、意外とみんなとうまくやっていけるかもしれないし、この孤独や不安定な気持ちから脱出できるかもしれないと考えた。
ある日、彼に相談をした。
私「みんなフランス語ばかり話して私には何を話しているのかわからない。今度パーティをする時は、あなたの友達を私に紹介したり、話の仲介をしてくれない?」
彼「自分から話しかければいいじゃないか?そしたらみんな英語で答えてくれるよ。」
彼はあっさりと答えたが、これは彼が思うほど簡単な問題ではなかった。
私よりも英語が下手なフランス人もいるのに、どうやってコミュニケーションを取れと言うのだろうか。
私には手助けが必要だった。
何度かお願いをしたが、状況に変化はなかった。
社交的で明るくおしゃべりなフランス人的気質からは、私の抱えている問題が理解できないのであろう。
私もできるなりに努力はしてみた。
みんなが来ると必ず顔を出したし、少し会話を続けようとしてみた。
しかしいつもなんだかぎこちなくて、パーティーはまだ続いているのにも関わらず、もやもやしながら自分の部屋に戻りベッドに入る。
私の部屋の隣からは、キッチンで騒ぐ彼らの声が夜中響いて聞こえる。
それを聞きたくないのでイヤホンを耳栓代わりにして、「なぜ私はうまくやれないんだろう。」と自己嫌悪に浸る。
そんな中、たまにではあったがオーストラリア人もそのパーティに参加していた。
フランス人たちと英語で会話を楽しんでいた。
言葉の問題じゃなかった。
社交的な人間であれば、このパーティを楽しむことができるのだ。
よく考えればフランス人の彼は、オーストラリア人だけのパーティにもよく顔を出していた。
英語は完璧ではなかったが、何よりも社交的で人といるのが好きな人だった。
私の1番の問題はフランス語を話せないことではなく、下手な英語を話して人にどう思われるか、トンチンカンなつまらない話をして嫌われるのではないかと心配することだった。
そればかり気にして、人付き合いをするのが怖かったし、人と話すことを楽しむことができなかった。
言葉がわからなくても、みんなと楽しめる人達はいる。
周りがフランス語ばかり話していても気にせず、わからないことは聞けばいいし、話したいことは話せばいい。
むしろ海外文化や英語を勉強したくてオーストラリアに来たのだから、日本語を使わないこの環境はいいのではないか。
そんなに苦痛に思うことではない。
頭の片隅ではこうポジティブに考えたいと思っていたが、鬱状態になるとネガティブにしか捉えることができなかった。