5日目。
昨日は営業時間が終了していてマンションの管理人に会えなかったので、早起きして朝一番にマンションへ向かう。
管理人「ちょうど昨日、ある女性が来て家を契約してしまったんだよ。」
やっとの思いで出した決断だったがあっさりと断られ、車に戻る私達。
彼「僕たち外国人に家を貸してくれる人って少ないんだよ!入居できる部屋があるのになんで早く決めなかったの!?」
再び怒り狂う彼。
再び泣くしかない私。
いくら病気で決断ができないと説明をしても、彼は焦りと怒りで聞く耳なし。
それからいくつか別のマンションに行ってみたり、ネットで検索してみたがいい条件の部屋は見つからない。
私達は色々と疲れが溜まってぐったりしていた。
彼「もういい部屋はないよ。仕方ないから第二候補だった1LDKのマンションの管理人にもう一度聞いてみるよ。」
実は第一候補の部屋を契約できると思っていたので、彼は第二候補の部屋を断っていたのだ。
第二候補の部屋も、もしかしたらもう誰かに取られているかもしれない・・・。
ドキドキしながら第二候補の管理人と電話をかけると、まだ空きがあると言う。
すぐに銀行に向かって残高証明を発行してもらい、管理人の元へ向かう。
言っている事が二転したので管理人にちょっと嫌な顔をされたが、無事に契約が完了した。
あとは2日かけて自宅へ戻るだけ。
ふぅ、やっと帰れる・・・。
この旅で私は体力的にも精神的にもボロボロだった。
時間がないので焦る気持ちもわかるし、責任を感じているのかもしれないが、彼のあの怒りは度を超していた。
涙が止まらないのはもちろんのこと、私の体は鉛のように重く、歩くのも驚くほど遅かった。
息をするだけで精一杯な感じ。
言葉を発する力もなく、ほとんど話せない。
鬱の大底という感じ。
新居を探しているのに、そこで彼と新しい生活を思い浮かべる事ができなかった。
むしろ彼から離れるために日本に帰って、実家でどうやって過ごしていこうかと考えていた。
とりあえず今の私にできることは、トリプタノールとレキサルティを頓服として飲むことだけだった。