丸2日かけて目的の町になんとか到着したが、長時間のドライブで私たちはもうすでに疲れていた。
3日目から家探し開始。
私達はその街の土地勘がないし知り合いもいないので、まずは町をドライブしながら様子を探る。
中心地、住宅街、レストランがたくさん集まっている所、大きなショッピングセンターがある所・・・。
雰囲気の良い新興住宅エリアに狙いを定め、『入居者募集』と大きな旗が掲げてあるマンションにアポ無し突撃。
いくつか当たってみたが今の家賃より高いし、空室が思ったよりも少なく、すぐ入居できるところがなかなか見つからない。
それに加えて、事前にアポを取っていた管理会社に内見に連れて行ってもらう。
ホームページに載せられている写真の通り、広々として暮らしやすそうではあったが、アパートの周辺にはホームレスがウロウロしている。
家賃は安くお手頃であったが、治安の悪い場所だったので候補から外れた。
4日目。
思っていたよりも空き部屋が少なく、この時点で候補は2つ。
どちらも築1、2年ほどの新しいアパートで、ホームレスがいない地域だ。
ここで私の決断力の無さが発揮される。
1つは街の西にあり、20分ほど歩けばスーパーなどのお店がいくつかある1階で1LDKの家。
私は車の運転が苦手なので歩いていける距離に買い物ができる場所があるのは助かるが、一階なので人の目が気になりそう。
もう1つは街の東にあり、歩いていけるスーパーはないが3階で2LDKの家。
部屋も広いし3階なので眺めはいいが、気軽に買い物に行ける場所がない。
少なくとも1年は住まなければいけない家を決めるなんて、そんなに簡単にできるわけがない。
しかも土地勘もないし、家賃も今までより高い。
彼「自分1人で決められないし、ね子(私)の意見も聞きたい。」
と返事を待ってくれた。
その日の夕方に彼に急かされて、渋々2LDKの家にしたいと言った。
やっと家を決めて契約するために管理人に会いに行ったが、すでに帰宅した後だった。
そこから私と彼の雰囲気が悪くなっていく。
彼「なんで早く決めないんだよ!これで契約できなかったらどうするの!?時間がないんだよ!今決めなかったらまた往復4日もかけてこの街に来なきゃいけないんだよ!ただでさえ僕たちは外国人だから、審査も通るかわからないし契約するのが大変なんだよ!」
これまでにあまり見たことないような形相で怒る彼。
責められて泣くしかない私。
何も言えず1時間以上泣き続ける。
体の力が全部抜けて、車の椅子に座っていることも辛い。
それからホテルに戻り、無言で眠りについた。