職場で不満を持ちつつもしばらく働き続け、年末になった。
私の働くレストランでは毎年クリスマスに、系列店合同でパーティーをすることになっていた。
参加費は社長持ちで、パートナーや家族も連れて来てもいいことになっていた。
私には連れがいなかったので、1人で参加することにした。
パーティー当日、日本人、中国人、韓国人、ミャンマー人、ドイツ人、インド人などいろんな国籍のスタッフやその家族が、計50人ほど集まった。
パーティー会場として使われた私の働く店は、座る席がないほど人でギュウギュウだった。
知らない人がたくさんいて落ち着かず、何だかソワソワした。
開始の時間になり、マイクを持って話し出したのはあのマネージャーだった。
おしゃれなスーツを着て、ニコニコしながら話し、時にはみんなを笑わせたりした。
彼の司会進行で社長が挨拶をしたり、ゲームをしたりとプログラムが進んで行く。
お酒を飲みながらワイワイと話したり、美味しいご飯をお腹いっぱい食べて、みんなパーティーを楽しんでいるようだった。
パーティーはとても盛り上がっていた。
一方私は心から楽しめずにいた。
いつも怒ってばかりのマネージャーが笑顔で司会をしていたり、スタッフ達と談笑している様子を見て違和感しか感じなかった。
まさか二重人格!?
普段と違いすぎて戸惑う。
社長やその家族の前なので、あえて明るく振る舞ったのかもしれないが・・・。
彼の冗談にみんな笑っていたが、私は笑えなかった。
あんなに笑顔でもいつまた怒りだすかわからないと思い、気が抜けなかったからだ。
どうしても楽観的になれなかった私は、こんな場でも気軽に彼に話しかけたり、目を見ることができなかった。
彼をあからさまに無視したわけではないが、できるだけ避けて、見て見ぬ振りをした。
鬱を感じさせるものをなるべく遠ざけたかった。