ある日、ネットニュースを見ていた。
タクシーやバスで障害者が手帳を見せると、運転手から「それは偽物だろ?早く降りろ!」と怒鳴られたという内容だった。
精神の障害者手帳2級を持っている私には人ごとには思えず、この事件に怒りを覚えた。
なぜ手帳を持っている人にそんな酷い態度をするのだろう?
医師や自治体の判断があって手帳が配られているのに。
手帳を持っていることってそんなに偏見があることなのかな?
そして、ふと昔のことを思い出した。
10年ほど前、1人で2泊3日の鎌倉旅行をしていた。
障害者手帳を利用すれば、バスの運賃や施設の利用料金が割引されることを知っていたので、実際に手帳を利用したことがあった。
美術館などでは、料金表にわかりやすく障害者料金が書いてあるところが多い。
ある日小さな神社を訪れた時、立てかけてある小さな看板を見ると、通常料金のみが記載されていたが、障害者料金が書かれていなかった。
私「ここで障害者手帳は使えますか?」
手帳を受付の60歳くらいの男性に見せながら話しかけた。
あまり手帳を見たことがないようだったので、顔を近づけてしばらく手帳を眺めてこう言った。
受付「そんなもの神様に使っちゃいけないよ!」
強い口調だった。
その時はあまり深く考えず、通常料金を支払って神社を拝観した。
でもその後、何だかその言葉が気になりだした。
そんなもの・・・使っちゃいけない・・・
モヤモヤした気分になってしまった。
障害者手帳は全ての施設で利用できるわけではないし、利用できないこともある。
穏やかに『ここでは手帳は利用できないんですよ。』と言われれば、『それじゃあ通常料金をお支払いしますのでチケット1枚お願いします。』となる。
でも、受付の人が言った『そんなもの』という言葉が引っかかる。
そんなものと言われても、ちゃんと申請して県からもらった正式なものだし、偽装でも何でもない。
障害者サポートとして与えられたもの。
その補助があるから、障害者の私でも元気のある時に外出しやすくなるし、たまに施設を楽しむことができる。
障害者の負担が軽くなる、とてもありがたい手帳。
『障害者手帳?何だそれ?そんなものなんか受け入れないぞ!』とばかりに突っぱねるような口調で言われると、なんだか悲しくなる。
割引されるされないの問題ではなくて、何だか障がい者に対する壁を感じた。
障害者手帳って、あまり世間からよく思われていないものなんだなと思った。