ある日、弁護士のもとに訪れた。
その理由は、今滞在している国にもっと長く滞在できるよう、ビザの相談をするためだ。
英語で話し合いをするのだが、私だけでは不安なので、彼を連れて行くことにした(彼の方が英語が上手)。
事務所は街中にある、高層ビルの一室。
初めて弁護士事務所を訪れるため、緊張した。
20分ほど待って、やっと弁護士がやってきた。
ポロシャツでノーネクタイ、ラフな服装だ。
私「はじめまして、ね子です。」
弁護士「はじめまして!」
お互いスマイルで握手をする。
第一印象は良かった。
色々と質問したいことがあったが、初めて会う人の前ではうまく話せないし、英語がなかなか出てこなかった。
それを見かねて彼が代わりに質問し出した。
弁護士「ところで君はどこの国の出身なの?」
弁護士は彼に聞いた。
2人の出身国が近かったようで、楽しそうにわきあいあいとご当地ネタを話し出す。
私の出身国には触れず、しばらくしてまたビザの話に移る。
私は弁護士の内容を理解しようと、自分の言葉で復唱しながら確認した。
そこで私の理解が間違っていたらしく、弁護士はあからさまにがっかりしたような態度をした。
弁護士「はぁ(ため息)。わかったよ、わかりやすいようにホワイトボードに書いてあげよう。」
英語を話せない人はネイティブスピーカーに相手にされないという話を聞いたことがあるが、まさにこのことだと思った。
弁護士は私と目を合わせず、彼の方ばかりを見て話をする。
HSPの私は、これ以上弁護士に話しかけてはいけないような気持ちになった。
『相手をがっかりさせてしまった。』
『迷惑をかけてしまった。』
『めんどくさい奴だと思われただろうか。』
でもこれは一生に関わるとても大事なことなので、恥ずかしがらずに、わかるまで聞くしかない。
それから基本的には彼が質問してくれたので、私は聞いていることが多かった。
そして最後に質問はないかと聞かれた。
私「もしこのビザの申請をお願いするとしたら、費用はどれくらいですか?」
弁護士「ふぅ(頬を膨らましてするため息)。わからないよ・・・。んー多分50万円ほどかな・・・。」
わからない・・・?!
普通見積とかちゃんと計算してくれるよね?
こちらにとって、ビザの内容はもちろん、お金も大事な問題!
なんでそんな嫌そうな顔をするんだろう。
俺にお金の話をするんじゃないというような態度だった。
知り合いからこの弁護士は仕事のできるすごい人だと聞いてきたのに、とても残念な気持ちになった。
以前日本人のビザエージェンシーと話したことはあるが、話し方も丁寧だし、見積もりも出してくれるし、全然対応が違っていた。
もうあれこれ聞く気力もなくなり、早く事務所を出たくてしょうがなかった。
事務所を出たあと、しばらくどーんと気分が沈んでいた。
なんだか私はあの場で幽霊みたいだった。
存在を無視された感じ。
一気に鬱へ引き込まれた。
私は人に対して敏感すぎるのかな。
あんな弁護士嫌いだけれど、色々と理由があって今はそこに頼むしかない・・・。