祖母のお葬式の出席のため日本に帰国し、仕事を急に休んだために、レストランの仕事をクビになった。
その後カナダに戻ったはいいが、また一から仕事探しをしなくてはいけない。
前回仕事を探した時は、鬱がひどくてなかなか求人に応募できず、2ヶ月間も無職状態だった。
そして今回は滞在できるビザも残り6ヶ月ほどで、ビザが短い外国人労働者を雇ってくれるオーナーを探すことは簡単ではないだろう。
気が重い。
だが、働かないと生活はできないし、ワーキングホリデーでカナダの生活を体験したくてやってきた意味がない。
求人募集のサイトを見ながら、記事を載せている飲食店の口コミや地図を念入りに調べる。
モタモタしている時間はなかったので、いまいち心の準備はできていなかったが、いくつか応募してみた。
そして1週間が経ち、ラッキーなことにカフェの仕事の面接を受けることになった。
面接当日、ドキドキしながらカフェに向かう。
そこは大通り沿いにある、ガラス張りのおしゃれな店だった。
店の外から中の様子がよくわかる。
「ちょっと私には敷居が高いかも・・・。」
小心者の私は、面接前からもうビビってしまう。
店の中に入り、スタッフに面接に来たと伝えると、すぐにオーナーが現れた。
私と同じ歳ほどの、綺麗なアジア人女性だった。
オーナーにしては若い。
彼女は香港系カナダ人で、訛りのない英語を話した。
そして笑顔が可愛くて優しい。
彼女はとても感じもよく、次第に緊張も解けた。
10分ほど会話をして、
オーナー「土日は忙しくて大変だろうから、とりあえず平日働きにこれる?」
と、あっという間に採用が決まった。
思ったより早く仕事がもらえて、嬉しかった。
この勢いで体調も良くなればいいのだが、なかなかそうはいかない。