コミュニケーション能力の高い女の達の登場で、どんどん居場所がなくなっていくような気がした。
それから間も無くして、ハウスメイトであるフランス人の彼氏が、友人のフランス人を5〜10人ほど招いて毎週のようにパーティーをするようになった。
陽気な彼らとの出会いは、思った以上に辛いものとなった。
英語での会話もなかなかついてはいけないが、知っている単語はあるので会話の内容は予想ができるし、ゆっくり話してもらえれば理解ができる。
しかしフランス語は無知なので、予測さえできない。
英語で彼らと挨拶してみるが、シャイな私はその後の会話がなかなか続かない。
英語が話せないフランス人もいたので、彼らと話すために仲介役が欲しかったが、彼氏はおしゃべりに夢中で私のことなど放置だ。
「ここはフランスか!?」と思う。
まるで私は蚊帳の外。
これほどまでに疎外感を味わったことは今までになかった。
「そんなの気にしないで下手でもいいから英語で話せばいいのでは?」と思うかもしれないが、フランス人達のおしゃべりで元気なパワーに圧倒されて、その時の私にはそんな気力はなかった。
フランス人グループと会うのは週に一回ほどだったが、フランス系カナダ人の女の子とは毎日顔を合わせなければいけなかった。
その子とフランス人の彼はいつもフランス語で会話をしていた。
全く何を言っているのかわからないが、会話が弾んでいるようだ。
次第にイライラしてくる。
その会話を遮るように英語で彼らに話しかけ、彼らも一応英語で答えてはくれるが長くは続かない。
彼女である私よりも、彼氏はその子と会話している方が多く、楽しそうに見えた。
同じ場所にいるはずなのに、その2人と会話をすることができない。
私は透明人間みたいだった。
悲しみ、孤独、嫉妬、自己嫌悪、いろんな感情がごちゃ混ぜになっていた。
次第に私はフランス語を聞くと気分が悪くなるようになってしまった。
このアレルギーはこのシェアハウスを出るまでずっと続いた。