捨てる神あれば拾う神あり。
無職になってから一週間後、知り合いのツテで仕事を紹介してもうことができた。
こんなにすぐに仕事が見つかるなんて本当にラッキー。
今度は夫婦で経営している農家で働くことになった。
以前と比べて規模は小さいが、いろんな種類のフルーツを扱っていた。
テーブルを囲んで休憩やランチを取り、よくみんなでおしゃべりをした。
オーナーや同僚との距離が近かく、楽しく働くことができたのでしばらくは調子が良かった。
少し調子が悪くなってきたのは、シェアハウスの人の入れ替わりからだった。
オーナー2人はオーストラリア人カップル、ハウスメイト2人はオーストラリア人、1人はフランス人だった。
そのうち1人のオーストラリア人が引っ越し、代わりにドイツ人とフランス系カナダ人の女の子達が入居した。
今までもこの家に住んで文化の違いを感じたり、コミュニケーションがうまく取れずにフラストレーションを抱えてきたのだが、さらにそれがひどくなる。
ドイツ人とカナダ人はワーキングホリデーで来ていたのだが、英語の能力が私と比べ物にならないほど高かった。
西洋文化育ちなのでコミュニケーション能力も高い。
シェアハウスに溶け込むのも早かった。
おしゃべり好きな彼女たちは、キッチンで毎晩夜遅くまでみんなと会話を楽しんでいた。
アジア人とはノリが全然違う。
会話に入ろうとチャレンジしたが、何を話そうかと頭で英文を考えているうちに、会話がどんどん先に進んで、結局何も言えなくなってしまう。
黙って会話を聞いているだけ。
シャイで英語が上手く話せず輪に入れない私は孤立していく。
驚かされたのは、14時頃私が仕事から帰った時だった。
ドイツ人とカナダ人の女の子達が水着姿でキッチンの椅子に座って寛いでいた。
「家の中でなんでビキニなの!?」と困惑する私。
近くにビーチもプールもないのに、どうしたのかと聞く。
女の子2人『天気のいい日だから日焼けするのよ。』
と言って裸足で庭に出て行き、草の生えた地面に寝転んだ。
「確かに陽が当たって気持ちいいかもしれないが、地面に寝ころばなくてもいいじゃん。」と思う私。
しばらくして2人が家の中に戻って来ても水着のままで平気でみんなと話している。
ハウスメイトは男性もいるのに気にならないようだ。
女の私でも目のやり場に困るのに。
アジア人女性は美白を好み、日焼けを避ける。そして肌をなるべく隠すようにする。
西洋の女性は焼けた肌を好み、できるだけ日光を浴びる。そして肌を出すことに抵抗はない。
当時外国人とあまり関わったことがなく、文化の違いを全く知らなかった私には理解不能だった。
私はこの子たちと仲良くなれないと感じた。