[アルバイト4ヶ月目] やる気10%:不安90%
あの忙しかった日のことが忘れられなかった。
またいつあの忙しくてピリピリとした日が来るんだろう・・・。
またいつ怒られるんだろう・・・。
またいつ泣いてしまうんだろう・・・。
そう思いながら働いていたので心が敏感になっていた。
あるランチの営業日。
忙しくなかったのだが、キッチンだけはピリピリしていた。
オーナー夫婦が喧嘩をしていたのだ。
たまに仕事に関して強く言い合うことはあったが、今回はひどい。
嫌な雰囲気が全く関係のない私の方にも漂ってくるので、なるべく近づかないようにする。
他のスタッフも見て見ぬ振りをして、黙々と働いている。
喧嘩がひと段落した後も、2人とも怖い顔をしている。
オーナーに聞かなければいけないことがあったので声をかけると、私に対して怒っているかのようにその質問に答えた。
はっとした。
私に非があり、責められているかのよう。
私が怒られたように感じた。
鬱の波がドンとくる。
トイレに駆け込んで、こっそり泣く。
必死に鬱の感情を隠して働いたが、もういっぱいいっぱいになっていた。
次のランチの営業日。
気持ちをなかなか切り替えられないでいた。
不安でいっぱいになりながらもいつものように仕事をしていると、オーナーが出勤してきた。
自分でも驚いたのだが、オーナーを見た途端に涙が溢れ出した。
オーナーは基本的にはフレンドリーでニコニコとした人だし、今日は怒ってはいない。
けれどあの記憶が頭から離れなくて、『オーナー=怒る人・怖い人』というイメージになってしまっていたのだ。
今回はトイレに駆け込むことができず、キッチンの端で大泣きしてしまった。
不思議に思ったオーナーの妻が様子を見にくる。
もう自分には感情をコントロールすることはできず、全て話して楽になりたいと思った。
- オーナーが怖いこと
- オーナーの口調が強くなること
- いつ怒られるか不安で仕方がないこと
面接を受けた時から話すべきではないと考えていた躁鬱病のことも話してしまった。
オーナーの妻はとりあえず話を聞いてくれて、そのあとにオーナーが来た。
「料理人だし、オーナーだし、店の状況でイライラしてしまうこともあるよ。」
確かに、人は誰だって怒ったりイライラすることもある。オーナーも普段はとてもいい人であることは知っている。
でもオーナーの良いところよりも、怖くて嫌だとういうイメージが勝ってしまう。
その日は早退して泣きながら家に帰った。
そしてこれが私の最終勤務日となった。
まるで大学教授の前で急に泣き出した時と一緒だ。
1度ついた苦手・恐怖意識は消えない。
他の人からしたらこのようなアルバイトの体験なんて普通にあることだし、泣く必要もないし、嫌だとも思わないかもしれない。
しかし躁鬱の症状が安定していなかった私にはとても辛かった。
まだまだ自分の症状や性格をいまいち理解していなかったので、どのような職種・仕事内容・環境が向いているのか分からなかった。
いろんな人に会う接客業や、忙しくなる時間帯のある飲食業は、私の性格には合っていないとわかるのはかなり先のこととなった。