就活セミナーに参加する元気はなかったがやれるだけやってみようと思い、大学卒業が決まってから、いくつかアパレルの総合職に履歴書を送った。
まともに就職活動してこなかった上に、手探りでやっていたせいもあって、いい返事はもらえなかった。
- まだ躁鬱病が完治していない
- 気分の波がある
- 興味のある仕事がほとんどない
- 仕事に就いたとしても続けれるだろうか
このような不安があるし、なかなかモチベーションを保てない。
だんだん自分のしていることが無駄に思えてきた。
正社員の採用はハードルが高いので、まずはちょっとしたアルバイトからしてみようと思った。
アパレル求人の応募に飽き飽きした私は、動物が好きなので近所のペットショップのアルバイトに応募した。
当時の私は大学を休学したせいもあって、アルバイト経験がほとんどなかった。高校生の時はアルバイト禁止の学校だったし、大学の初めの頃はサークル活動に熱中していた。
短期の派遣のアルバイトはしたことがあったのだが、長く仕事が続かない子と思われたのか、採用には至らない。
次にドッグトレーナーのアルバイトに応募した。するとトレーニング(研修)に採用してもらうことができた。
こんな私にもやっとチャンスが巡って来た!
そこは大型犬の子犬から成犬まで15匹ほど常に預かっていて、犬のしつけ・トリミング・販売をしていた。
オーナーは40歳くらいの男性で、ペットに関する書籍を販売しており、実績のある人のようだ。
ペット専門学校に通う、20代のアルバイトも6人ほどいた。
私の仕事は、犬のケージの掃除、犬のシャンプーのお手伝い。
大した仕事はまだしていないが、好きな動物に囲まれ、しかも社会で働けることに対してとても嬉しく思った。
だが、だんだんと不信感を持ち出す。
言われる通りの時間に来て、1日7時間程働き、2週間が経った。
私「トレーニング期間はいつまでですか?アルバイトとして働けますか?」
オーナー「まだわからないよ。いろいろできるようにならないと決められない。」
トレーニング(研修)期間とはこんなに曖昧なのかと思った。
躾けられた犬ばかりなのだが、ある日いうことの聞かなかった犬(大型犬)がオーナーに怒鳴られ、蹴り飛ばされているのを見た。
え?犬にあんなことしていいの?いや、そんなことするオーナーにはついていけない!
そう思った私はアルバイトをやめることを決意。
私「アルバイトを辞めます。」
オーナー「わかったよ。」
私「トレーニングで働いた分の給料が欲しいのですが。」
オーナー「払えないよ。だってトレーニングだもん。ちゃんとした仕事してないじゃん。」
私「でも2週間来て言われた通りに働いたじゃないですか!」
まともに取り合ってもらえなかった。何よりも犬が蹴られるところを目撃してショックだった。
動物が好きな人がこんなことするだろうか。アルバイトの人達はなぜあのオーナーに付いて行けるのかわからなかった。
市役所に行き、一連のことを話した。
トレーニング(研修)中であっても労働した分は給与が発生する。役所も賃金未払いの手紙をそのオーナーに出すが、法的な効力はないとのこと。
そしてもちろんその手紙は無視され、給与は支払われなかった。
なんとかやる気を出してアルバイトしようと思ったのに、こんながっかりさせられる結末。
私は働く意欲を完全になくしてしまった。
それ以来しばらくアルバイトに応募できなくなった。