数年ぶりに学校生活へ戻った。友達もいないし学校へ行くのがずっと嫌だなと思っていたが、案外吹っ切れていた。
知り合いがいないので人と話さないし、無理に人付き合いをしなくていい。
自分の存在を消して幽霊みたいに過ごすと気が楽だ。
今まであんなにこだわっていた成績。絶対に取るまいと思っていた「優」以外の評価だが、もう「良」「可」だけではなく「不可」もたくさんある。だが今の目標は大学卒業であり、成績はあまり気にならなくなった。
とりあえず毎日学校へ通うことが大事だ。
たまに授業を休むことはあったが、意外と大丈夫であった。
課題は山ほどあったけれど、以前のようにアパレルの勉強が楽しいと思えてきた。
唯一の問題は、周りの生徒が煩わしい事であった。
みんな20歳頃の年齢で、友人同士でワイワイ話したり、テンション高く騒いでいて、エネルギーに満ち溢れている。
「学校生活、友人関係、何もかもがうまくいっているんだろう。それに比べて私は友達もいないし、毎日必死に生活してる。」
そう比較して、ネガティブに考えてしまう。
特に1時間の昼食時間が私を疲れさせた。みんなの楽しそうに話す甲高い声があちらこちらから聞こえてくる。
食堂はとてもうるさく混雑しているので、いつも教室の端でひっそりと一人で食べる。私にはおしゃべりの相手もいないので、15分もあれば十分。
あと45分何をしよう・・・。無駄な時間だな・・・。
早く授業を終わらせて、落ち着ける自分の家に帰りたかった。
休憩時間などいらない。授業のみであればいいのに。
この状況の乗り越え方は、イアフォンとサングラスを持ち歩く事だった。
授業以外の時は、イアフォンで外の音をシャットダウン。音楽をかけなくても、耳栓がわりに使用していた。
本当に調子の悪い時は、ノリのいい曲や、ベース音が強い曲を大きな音量で聞く。外の音は聞きたくない。
サングラスは、人の視線から私を守ってくれた。あと、不安でオドオドしていたり、泣きそうになっているのを見られないようにもしてくれた。
冬の時期はサングラスをするのは変なので、その代わりにマスクをした。少しでも表情を読み取られないように。少しのショックでイライラしたり泣いてしまうから。
これらのおかげで、自分のペースを崩さずに多少なりとも自分を守る事ができたと思う。
今でもイアフォンは外出時に良く使用する。人の影響を受けやすい私には手放せない物になった。