今までの人生でしたことはなかったが、イライラするとたまに物を投げて壊すようになった。
医師に勧められたこともあって、たまに実家に帰っていた。実家には両親を弟が住んでいる。
ある日実家に帰った時のこと。
私が飼っている犬の世話をしていて、そのフンをトイレの便器に入れたまま流していなかった。
弟「ねーちゃん、フンちゃんと流しておいて!」
弟に注意された。彼の声はすごく怒っているわけでもないし、怒鳴ってもいないけれど、少し不機嫌な様子がうかがえる。
たったそれだけでダメだった。何も言い返すことができない。「わかったよ。」の一言で済むのに。
不動産屋のこともそうだが、人の不機嫌な気持ちを大げさに捉えた。
人が怒っているのを見る→自分が悪いことをした→自分は人を不機嫌にさせるダメな人間だ→人が怖い
悲しくなってきて涙がでてくる。どうしていいかわからなくなる。
弟が幼い頃好きだったアニメのポスターがまだ部屋にたくさん貼られたままだった。それを泣きながら片っ端から引きちぎって破りだす。ポスターの切れ端が散乱する。
同時に罪悪感も感じる。本当は物を壊したくはない。
その日もしばらく泣き止むことはなかった。
今考えれば『そんな小さな事』なのだが、当時は苦しい状況なのに更に自分を否定されるように感じていた。
そして言葉で反論できない代わりに泣き続ける。
医師曰く、鬱の人は破壊願望があるようだ。物を壊したり、人間関係までも壊してしまったり。
私には3年間付き合った彼がいたが、病気になって数ヶ月して別れてしまった。もしかしてそれは破壊願望の一種だったのかもしれない。